気になる。

日常の中にある “小さな違和感” を記録しています。 怖いかどうかは、読んだあなたが決めてください。

第十一話:家の周りをぐるぐると

結局その日は玄関の前で待つのをやめて、部屋に戻った。
不安になって、改めてGPSを開くと…
配達員のアイコンが、家の周りを回っていた。

普通のルートじゃない。
細い裏路地や、普段自転車でも通らないような幅の道を、ゆっくり、ゆっくり、円を描くように。

最初は「迷ってるのかな」と思った。
でも五分経ってもまだ回っている。
十分経っても止まらない。

ぐるぐる、ぐるぐる、家の周りだけ。

その間、一度もメッセージは来ない。
声も気配もない。
ただ、GPSの点だけが不自然に動き続けていた。

やがて突然、アイコンがピタッと止まり、
「配達が完了しました」
という通知が届いた。

玄関を開けた。
もちろん、何も置かれていない。

外は静まり返っていた。
まるで最初から配達員なんて存在しなかったみたいに。

その日の夜、寝つけなかった理由をずっと考えていたけど、
たぶんあれは“道に迷った”とか“システムのバグ”じゃない。

あの不自然な軌道、何分も続いた無言のまわり道。
あの時間、
誰が、何のために家の周りを回っていたんだろう。